Uターンの危険性

「Uターン」と聞くとみなさんはどのような印象を持たれるでしょうか。方向転換、道を間違えた、道路反対車線側の施設に行きたいなど、さまざまな理由で行われる一般的な運転動作の一つではありますが、実は弊社、毎日タクシーでは特定の状況を除いてUターンを原則禁止としております。今回はこのUターン禁止原則についてご紹介いたします。※専用のUターン路のある場所は除きます

 弊社のUターン禁止原則は、「空車時、回送時、迎車時はUターン、方向転換を禁止する」というルールです。併せて実際にお客様がご乗車になられている状態「実車」の場合はお客様のご要望に応じてUターンを行うことを禁止は市内がタクシー運転者側からは積極的にUターンを提案・推奨しないということにしております。少し厳しいですか? あるいは、そうかもしれません。

 Uターンは運転操作の中では非常に難易度の高い動きです。動作の開始時から終了まで注意を向けるべき範囲は広く、Uターンによって回り込む側の車線(着地側)の状況で一例を。Uターン開始直前の安全確認段階で着地点側レーンは交通閑散だが少し離れた地点からバスが進行してきている。大型車の陰からの二輪車リスクは右折時よりもさらに高いものとなります。着地点側進行車両の進路を閉塞することになる時間が長い、それどころかそのままそのレーンに加わる(閉塞を継続)わけですから、スローペースで進行するバスをかき分けて二輪車が進行、当該二輪車の目線からすればいきなり前方にUターンを仕掛けられるということになりますから、このような状況が揃ってしまえば高い確率で交通事故に結びつきます。そして、具体的な数字があるわけではありませんが東京23区内においてはこのような状況はそれほど珍しくはないのではないかと思います。

 弊社ではずっと以前から「安全に勝るものなし」「無事の帰庫こそプロの腕」とメッセージを伝え続けています。事故がなければ、無事に帰庫できればその日の仕事は「勝ち」です。タクシー会社としては、もしかしたら少数派かもしれません。お客様を輸送することでいただく運賃収入が会社の柱である以上、それを追求するのが一般的なあり方なのかもしれません。しかしながら一方で、例えば8万円の売り上げを1日で上げてきたとしても最後に電柱にぶつけてしまったら。その修理費はここ最近の物価高を考慮すれば8万円では賄えません。1日業務に全力を注いで、頑張って、集中して、お客様とやり取りをして、最後のオチが事故では割に合いませんよね。せっかく建てる「売り上げ」という柱、それが状況によって高い・低いはあれ、自ら削ったり、蝕んだりするようなことはやめよう!しかも、相手がある事故であるならば経済的な不利益、あるいは人身も含めて大きな損害を相手にも与えてしまうことになる。そしていうまでもなくそういった相手方に与えてしまった損害のうち金銭に換価できる部分については賠償の責任を負う=さらに、売り上げの柱が低くなる! なので、「安全に勝るものなし」の精神の元で無事故を最大の目標としていくことは乗務員さんの頑張りを無駄にしない、周辺交通に損害を与えてはならない社会的責務といったスローガン的な要素ももちろんあるのでしょうが、実はかなり実利的な話でもあります。だから、防げる事故は防がなければならないし、事故は1件でも減らさなければならない。必要に際しては事故につながりやすい危険な動作を会社のルールとして制限しなければならないようなこともあるわけですね。

 少し厳しいかもしれないUターン禁止ルール、状況によっては乗車をご希望される方の不利益となる可能性があることも理解しております。何卒ご理解いただきたくお願い申し上げます次第です。

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