タクシーに限らずあらゆる仕事に言えることですが、事故防止のためには自分自身の判断、そしてそれに基づく動作を疑ってかかることが重要です。その判断、その動作、「自分に都合の良いような」想定に基づいていませんか?
自分に都合の良い想定は車両運転の例で申し上げれば「相手が止まってくれるだろう」や「譲ってくれるだろう」、「出てこないだろう」、「周囲に危険はないだろう」といった、いわゆる「だろう運転」で、これらの「甘い想定」が事故を呼ぶことはご理解いただけるかと思います。甘い想定を持つことはその時、その状況において必要な注意の量、あるいは質を欠いている状態です。
運転をする以上、運転を継続していく以上はその時、その時で必要な注意は変化していきます。時間帯、道路幅員、交通量や道路の規格によって何が危ないのか、どのぐらい危ないのか、しっかりと見極めて判断を行うことが必要です。ところがそこに「甘い想定」が入り込むと、本来必要としている注意量、注意の質の不足部分をその想定が不正に埋めてしまう、結果、不幸な事故が生じてしまうわけです。つまり、持つべき想定は「自分に都合の悪い想定」であるべきです。
自分に都合の悪い想定、つまり「止まってくれないかもしれない」「譲ってくれないかもしれない」「出てくるかもしれない」「死角に危険があるかもしれない」。この想定に対して運転行動を決定するためにはこの想定に対して現実がどうであるかを「確認」しなければなりません。この確認こそが「必要な注意」です。油断なく、周囲を見渡す、確認に確認を重ねる。危険を想定する。かもしれない、かもしれない。教習所では「危険予測運転」や「かもしれない運転」というような言い方をしますね。
運転において、危険はいつでも自分自身の傍に、後ろにいるものと考えなければいけません。「大丈夫だろう」と言って良いシーンは自分の車両がわずかでも動いている限りにおいてはあり得ません。いつでも、どんな時でも「その時に存在しうる危険」を自分に都合悪く想定し、それに対してどのような運転行動を選択するのかを常に選択し続けなければいけません。
運転が継続する限り繰り返される「認知・判断・操作」。大丈夫だろうはダメかもしれない、を一つの合言葉に、交通事故減少に努めていきましょう。
【タクシー事故防止の合言葉】
大丈夫だろうはダメかもしれない。その時必要な注意、その量と質を確保しよう。誇るのは、売り上げよりも無事の帰庫!
毎日タクシー株式会社WEB担当でした。